日本スピッツが散歩していた昭和の風景

戦後から昭和30年代愛玩家庭犬(ペット)として人気が高かった日本スピッツ。昭和50年代中頃まで毎日のように散歩する姿を見ていた犬種だったが・・・(画像:Pixabay)

日本スピッツとは?

日本スピッツが誕生に至るまでは諸説があり、経緯は現在のところはっきりしていない。一般的には、大正時代末期から昭和初期(1920年代)に、白毛の大型犬・ジャーマン・スピッツ(独)や、同じく白毛の大型犬・アメリカン・エスキモー・ドッグ(独)等のスピッツ系の犬を交配し小型化させ真っ白な体毛に固定化された改良犬が日本スピッツの誕生と言われている。スピッツという名の語源は耳やマズルの長さからくる独語のSpitz。「尖った」「鋭利な」風貌からくるものである。

ジャーマン・スピッツは1921年頃に東京で開催されたドッグショーに出陣(一般社団法人ジャパン・ケネル・クラブの世界の犬日本スピッツの項に記されている)。諸説の中で一部の専門家の間から否定されている説が20世紀初頭にモンゴルまたは満州から移入されたシベリア原産のサモエドも交配されたという話もある。

シベリア原産のサモエドが日本スピッツの交配に関わった説に関しては、体毛の雰囲気やマズルの長さ、目の形などから否定派の意見に賛同したい。サモエドは愛嬌のあるどちらかというと秋田犬を長毛にさせたような手足が太くガッチリした佇まいであり、スピッツ系の大きな特徴であるつぶらな瞳と尖った耳、細長いマズルではなく丸みのある短いマズルに見える。飽くまでも私が勝手に抱いた外見的印象なので、真偽は定かでないということにしておきたい。お許しを・・・

日本スピッツ誕生に関わったとされる大型犬

犬の散歩今昔物語

現在でも犬を散歩させている様子を毎日のように目にするが、室内飼いが当たり前の時代となり小型~中型犬が好まれる。(私が住んでいる界隈限定)

近所で見かける犬種

(画像:Pixabay)

飽くまで、私が住んでいる地域でよく見かける犬種。ラブラドール・レトリバーは大型犬ながらよく目にする。数年前までやはり大型犬のサモエドを見かけていたが最近姿を現さないので寂しい。

犬の散歩の様子は今も昔も変わりはない。変わったと言えば現在は我が子が致した〝ブツ〟を仕舞う袋を携帯し散歩することが〝鉄則〟になったことぐらいだろうか、ただし昔は大型犬もよく目にしていたものだ

昭和時代よく見かけていた大型犬

(画像:Pixabay/Unsplash)

昭和50年代(1975年~1984年)私が育った地域は田舎ということもあり、一戸建てに広い庭を所有する人も多く、人気海外ドラマや日本のドラマ、アニメなどに登場した大型犬のラフ・コリー(海外ドラマ「名犬ラッシー」)、山岳救助犬として有名なセント・バーナード(アニメ「アルプスの少女ハイジ」)、警察犬で大活躍のジャーマン・シェパード(ドラマ「刑事犬カール」)、さらに平成6年(1994年)に高知県の天然記念物に指定された土佐闘犬(当時は土佐犬と呼んでいた。)などが住宅地を悠然と闊歩していたものだ。大型犬を家族に迎え入れているだけあって飼い主もそれなりに貫禄ある雰囲気の人たちであったことは間違いない😅寧ろ、このような貫禄を漂わせているおっさんほど〝ブツ〟の始末きちんとやり、相棒である大型犬もよく躾けられていたものだった。

そんな大型犬が闊歩する中、よく見かけていた犬種がやや小さめであるものの中型犬に属する〝日本スピッツ〟である。純白の絹糸の様な体毛を靡かせながら軽やかに散歩する姿とつぶらな瞳が魅力的な犬だった。

日本スピッツ

(画像:Pixabay)

昭和の頃、日本スピッツが純白の花弁の様な尾をヒラヒラさせ散歩する姿に頬が緩みっぱなしになるほどで愛らしさはどんな犬種でも敵わないほどだった。

しかし、昭和後期に差し掛かった80年代初頭からパタリと姿を見なくなった・・・。受け入れ難さはあるが、ペットにも流行り廃りがあるのは事実。それでもどうして姿を消してしまったのだろうか?と考えてみてある結論に至った。

日本スピッツ無駄吠え問題

当時、スピッツを飼っている方々から吠える声が頻繁に聞こえていたものだ。田舎であったことも功を奏したのか?そこまで耳障りに感じることもなく、寧ろ私は「吠えて当たり前」的感覚だった。

スピッツの寿命は10年~16年(推定)。戦後から高度経済成長へと差し掛かる昭和25年~昭和34年の1950年代は日本スピッツは日本の家庭犬の4割を占めるほどの人気犬となったが、吠えっぷりの凄まじさに次世代を再び迎え入れる家庭が少なかったことは想像できる。そして日本スピッツよりも小型の犬種の台頭も一気に姿を消した原因だと思われる。

〝日本スピッツ〟無駄吠え問題の根本的理由は、飼い主に対し愛らしく陽気で活発な姿を見せるがその反面、警戒心が強く繊細で神経質な性質が祟ったこと、さらに当時は小型犬種以外は屋外で鎖で繋ぎ小屋で飼うのが当たり前の時代、室内飼いの概念が希薄だったことが無駄吠えの一因だった。

※無駄吠え問題と敢えて書いたが、日本スピッツにとっては無駄ではなく切実なる訴えであったことを理解したい。

日本スピッツ海を渡る

国内での人気の高まりは海を越え、昭和48年(1973年)に初めて日本スピッツを輸入したのはスウェーデン。その子孫が英国に渡り根強い人気犬種となる。現在は、愛好家の長い年月の尽力により日本スピッツが元来持っていた学習能力の高さと明朗さ、そして外観の美しさを活かし無駄吠えの原因となる神経質さや警戒心を抑えた日本スピッツが再評価されているという・・・

雪景色と日本スピッツ

雪景色に溶け込むスピッツ系統犬。君は美しい・・・(画像:Unsplash)

動物愛護の気運高まる日本

昭和時代と比較すると動物愛護の気運も高まり、保護犬を家族に迎え入れるケースが増加している。あらゆる理由で飼育困難となった飼い主がペット専門店で出会った犬を保健所に持ち込んでしまう例もあるが、保護犬のほとんどは2種類以上の品種の交配による所謂、雑種犬である。雑種犬は多くの品種の特徴が混じり想像以上の賢さを発揮する犬、病気になりにくい丈夫な犬、そして外見的に個性溢れる魅力的な犬など利点も多い、ただし、野犬の親から誕生した雑種犬となると野生的な性質が顕在化する例も稀にあるため、そのことは念頭に置いておくべきだろう。

やはり保護猫を家族に迎え入れるのと保護犬を家族に迎え入れることはまったく異なることを知ることも肝心。初めて犬を迎え入れる人は、ブリーダーを通し出会うか、ペット専門店での出会いをお勧めしたい

しかし、どうしても保護犬を迎え入れたいのなら、保護活動をしているNPOもしくは最寄りの動物愛護センターに相談を重ねた上で新たな家族を迎え入れる為の心構えと環境整備をし迎え入れを検討しても遅くはない。

あなたにとってかけがえのない存在との良い出会いがあるかもしれない。

どちらにせよ、命を迎え入れることには変わりはないので、終生ともにする覚悟を持って出会い愛していきましょう!!

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事