燃えるように色づく葉がまばゆい馬肥ゆる秋。そんな秋の化粧品キャンペーンは静かに燃えていた。秋のキャンペーンは70年代ということもあり資生堂以外のメーカーのCM映像が乏しいため静かな頁になってしまったことを・・・すまないと思う(画像:パブリックQ)
化粧品秋のキャンペーン黎明期(1975年)
- 化粧品秋タイアップ形式でCMを初めて制作したのはカネボウ75年秋、
アラン・シャンフォーさんの「Bonjourお目、目さん。(日本語詞:麻生香太郎/作曲:G.Kawczynski/編曲:J.Jiry)」
カネボウの会員のみに配布された日本語Verを「青い麦」の伊丹幸雄さんが歌っている。
カネボウはこのタイアップが好評だったこともあり、76年春、77年春にもフレンチポップの楽曲を起用。
素敵な曲だ。70年代中頃の空気と匂いを思い出してしまう曲。残念ながら当時のCM映像は発見ならず。
※1975年は昭和50年
76年秋・資生堂「ゆれるまなざし」日本のCM映像史に爪痕遺す。歌うはバンカー
- 76年秋・資生堂秋のキャッチコピー=〝ゆれる、まなざし〟
CMソング=小椋佳さんの「ゆれるまなざし(作詞/作曲:小椋佳/編曲:星勝)」当時は日本勧業銀行の行員であり2足の草鞋の音楽活動がしばらく続く。
この曲の編曲は星勝さんだったとは素晴らしい!!
後に浜松支店の支店長となりその頃であろうか浜松名物・うなぎパイのテーマ。「うなぎのじゅもん」も小椋さんの楽曲である。
CMモデル=真行寺君枝さん。当時現役の高校生17歳。(撮影当時16歳)その後、女優として活動その傍ら、
昭和56年(81年)「胸が女の顔になる(作詞:阿久悠/作曲:佐瀬寿一/編曲:若草恵) 」]シングルデビューも果たし鼻に掛かった艶っぽい歌いっぷりに
当時の世の男子はどよめいた。彼女は中学時代、ポーラ化粧品のCMにも出演。
CM制作になんと3億円かけたという・・・現在も女優として活動中。
商品名:資生堂スプレンス・メイクアップフィニッシュ(ファンデーション)資生堂シフォネット・アイカラースティック(新色2色) - カネボウ秋のキャッチコピー=〝黒い瞳はお好き? F.サガン〟
CMソング=グラシェラ・スサーナさんの「黒い瞳はお好き?(作詞:なかにし礼/作曲/編曲:木森敏之)」歌手・菅原洋一さんに見い出された
アルゼンチン出身の女性歌手。日本語詞の曲を数多く歌っている。日本贔屓な人物で子どもの名はタローとハナコと名付けている。
CMモデル=マリア・ウェスコットさん。
商品名:当時の映像や詳細なデーターがないため不明。 - コーセー秋のキャッチコピー=〝私はいま恋の中。ジョリファム〟
CMソング=ハイファイセットノ「恋のジョリファム」未音源。楽曲制作者も不明。
CMモデル=杉本エマさん。
商品名:コーセー・ジョリファムリップスティック10色/ジョりファムアイシャドゥデュエット5色
※1976年は昭和51年
77年秋・電通マンの傍ら多才な作家・新井満がキャンペーンソングを歌っていた!
- 77年秋・資生堂秋のキャッチコピー=〝うれしくてバラ色〟〝女の顔はひとつじゃないよ〟〝組み合わせのマジック〟
CM音楽=リー・オスカー(デンマーク出身のハーモニカ奏者)の「約束の地(作曲:リー・オスカーとWar?)」インスゥルメンタル
当時、彼が在籍していたファンクバンド・Warと制作したソロアルバムの中の1曲であった。
Warは元アニマルズのエリック・バートンがヴォーカルだったバンド
現在も活動中のバンドである。
CMモデル=ローラ川又さん。彼女を模った精巧なマネキンやその他のマネキンを制作したのは市田喜一氏。
商品名:資生堂スプレンス・アイカラーバリエーション(新発売・3色)クリスタルデュー・リップスティック(CM内ではリップスチックと表記)(新色2色)
新発売・資生堂スーリール(香水・オードパルファムとパルファム) - カネボウ秋のキャッチコピー=〝舞踏会のワインカラー〟
CMソング=新井満さんの「ワインカラーのときめき(作詞:阿久悠/作曲:森田公一/編曲:船山基紀)」
電通マンだった新井さんは2足の草鞋で歌手、作家、写真家として活動していた人物。第99回芥川賞も受賞している。
CMモデル=小泉まり子さん。
商品名:当時の映像や詳細なデーターがないため不明。 - コーセー秋のキャッチコピー=〝見つめあうのが好き〟
CMソング=南佳孝さんの「見つめあうのが好き(未音源のためか詳細不明)」
南さんは80年春コーセーの〝リリカルカラー80〟の「Crescent Night(アルバム「MONTAGE」収録)」、
82年夏ポーラの「羅針盤」を提供している。南さんの楽曲は誠に心地好い。
CMモデル=コーラ・ヨーカムさん。
商品名:当時の映像や詳細なデーターがないため不明。
※1977年は昭和52年
78年秋・日本を席巻した〝君のひとみは10000ボルト〟カネボウは自社の社員がモデル!!
- 78年秋・資生堂のキャッチコピー=〝君のひとみは10000ボルト〟
CMソング=堀内孝雄さんの「君のひとみは10000ボルト(作詞:谷村新司/作曲:堀内孝雄/編曲:石川鷹彦)」
CMのポップさとカラフルさも相まって小学時代の同級の男子たちが良く口ずさむほどに90万枚を超えるスーパーヒット
79年の日本を象徴する一曲となった。アリスの堀内さんのソロシングルとしてリリース。
アリスでともに活動していた谷村さんが作詞を手掛けている。
CMモデル=ルーシー島田さん。
商品名:資生堂ベネフィーク・グレイシィ/リップスティック(リップスチックと表記)10色(新色3色)/アイシャドー(新発売・6色) - カネボウ秋のキャッチコピー=〝ブルーアンヴォーグ パリは薄化粧〟〝フィールベールの秋〟
CMソング=サーカスの「薄化粧(作詞:なかにし礼/作曲:小林亜星 未音源化。ライター陣がスゴイだけに勿体ない。)」
YOUTUBEに音源を再現されている動画を発見。資生堂の10000ボルトとは対照的なしっとりとしたCMだったことを想定できる。
CMモデル=沢田知子さん。当時、彼女はカネボウ化粧品の社員であった。目元がはっきりした美人。
CMにはセンセーショナルな処女作「悲しみよこんにちは」で時代の寵児となったフランスの作家・フランソワーズ・サガンも登場していた。
サガンは若くして成功してしまったこともあり、私生活が派手でゴシップクイーンでもあった。
晩年は貧困と薬物中毒の後遺症の中、オンフルールの医療施設で心臓発作のため69年の生涯に幕を下した。2004年(平成16年)のことであった。
商品名:当時の映像や詳細なデーターがないため不明。
※自社の美しき社員と時代の寵児だった女流作家が登場する貴重なCM映像をこの目で観たいものだ。 - コーセーのキャッチコピー=〝美しい秋見つかりそう〟
CMソング=山県すみこ(やまがたすみこ)さん「ビロード色の午後」後にアレンジャーの井上鑑さんと結婚。
結婚後は一線を退くも、スタジオワークやサポートシンガー等の活動をしている。
澄んだ柔らかい歌声で心が和らぐ声質の歌手である。
企業CM、CMソングやサウンドロゴなど多岐に渡る音源を残されているが
彼女のウィキペディアにはこの楽曲についての記載はない。シンガーソングライターなので自作の可能性高い
夫君の井上鑑さんとは別人の井上大輔(忠夫)さんの79年リリースアルバム「DANCING SHADOWS」に同じタイトルの楽曲がある
同曲なのか?別曲なのかは不明。
CMモデル=セーラ・ロウエル。
商品名:当時の映像や詳細なデーターがないため不明。
※1978年は昭和53年
79年秋・〝セクシャルバイオレット〟が炸裂
- 79年秋・資生堂のキャッチコピー=〝ほほえみは肌にこぼれる〟〝ほほえみは唇にうかぶ〟〝薄くも厚くも肌にフィット〟〝つややかな秋の色〟
CMソング=柳ジョージ&レイニーウッドの「微笑みの法則~スマイル・オン・ミー~(作詞/作曲:柳ジョージ/編曲:柳ジョージ&レイニーウッド)」
CMモデル=星野真弓さん。(寺尾聡さんと結婚し引退)
商品名:資生堂ベネフィーク・グレイシィ・ファンデーション(ファンデイション表記 7色)リップスティック(リップスチック表記 新色2色) - カネボウ秋のキャッチコピー=〝セクシャルバイオレットNo.1〟
CMソング=桑名正博さんの「セクシャルバイオレットNo.1(作詞:松本隆/作曲:筒美京平/編曲:桑名正博&ティアードロップス・戸塚修)」
60万枚超えるヒットとなったことで79年秋に於ける化粧品売り上げは初めて資生堂を抑えカネボウがNO.1になったという。
CMモデル=エマ・サムスさん。海外のモデルにしてはめずらしく可愛らしい童顔タイプだったことは記憶している。
(童顔だけにある種そそられるものを感じた小学時代。)
商品名:フィールヴェール(ファンデーション)7色(新色1色) - コーセー秋のキャッチコピー=〝自分の顔していたい エスプリーク〟
CMソング=トランザムの「エスプリーク」未音源
CMソングやサウンドロゴなどの音源を100作品以上残し、
さらには昭和に生まれ生きた者にとってトランザムと言えば
NHK国際障害者年プロジェクト・テーマソング「地球の仲間」を記憶している人が多いのではないだろうか。
CMモデル=セーラ・ロウエルさん。
商品名:エスプリーク(コーセーブランドとして現在も健在。) - マックスファクター秋のキャッチコピー〝I LOVE BEING A WOMAN~女であることを愛しています~〟
CMソング=ジョーン・シェパードさんの「I LOVE BEING A WOMAN(作詞:KASEY・RANKIN<英語版>・なかにし礼<日本語版>/作曲/編曲:羽田健太郎)」
CMモデル=CM映像がないため、私の微かに残る記憶では、幾人かの頑張っている女性が登場し、
ジョーン・シェパードさんご本人も登場していたような記憶あり。(確かな記憶ではないので誤りがあったら御免!)
CM作りが現代っぽい印象が残っている。
商品名:当時の映像や詳細なデーターがないため不明。
1971年夏のマックスファクターのCMソングを歌い日本でヒット、番組での共演がきっかけで千昌夫さんと出会い結婚。
日本に在住していた縁もあり再びジョーン・シェパードさんが英語版と日本語版を79年秋のCMソングとして歌った。
※資生堂70年代のCMをまとめた動画 22:09で当時の映像確認できる
※1979年は昭和54年
70年代化粧品秋のキャンペーンについてはここで終了。(誤情報、誤字、文脈に誤り発見時は随時、訂正致します。)次は80年代へつづく・・・