昭和のクライマックスに不穏さを感じたAERA創刊CM

※昭和のクライマックスともいえる63年(1988年)5月に創刊される朝日新聞出版「朝日新聞ウィークリー AERA」の当時のCMより

お昼休みはウキウキウォッチング気分をぶち壊すCM

当時、このCMに対して一抹の不安を感じてしまったものだ。とにかく得体の知れない不穏さもあり忘れたくても忘れられないCMの一つである。

しかも、私の記憶が正しければ、フジテレビ昼の帯番組「森田一義アワー笑っていいとも<昭和57年(1982年)から平成26年(2014年)放送>」と次番組小堺一幾さん司会の「ライオンのいただきます<昭和59年(1984年)~平成元年(1989年)放送>」の間のCM枠で毎日のように流されていた。

当時、仕事の昼休み時間、食後ゆったりしている時に必ず観てしまってたCMでもあった。

フジテレビ系列の放送網で朝日新聞出版のCMというのも不思議といえば不思議だった。当時、私が住んでいた地域がクロスネットだった。ただそれだけなのかもしれないが・・・
※クロスネットとは地方局がいくつものキー局の放送権利を持っている状態のことを指す(例:野球中継などで〝一部の地域を除いて放送はここまでとなります〟のあの一部の地域でもある。現在もクロスネット状態が継続中

CM放映から30年近くの歳月が流れ人々の記憶いやこのCMの存在すら知らない人たちもいるだろう。しかし・・CMから醸し出される不穏さと違和感は半端なく脳裏にこびりつくものがある。

ネットが一般家庭に普及して久しいが、ネット界隈では昭和55年(1980年)~63年(1988年)(厳密には64年<1989年>1月7日まで)に量産された意味不明、不気味、不穏、不思議な数々のCMについて何かと話題になる。しかしこのCMに関してだけはかなりのインパクトがある割には、都市伝説化していないCMの一つだ。

ネット黎明期、某掲示板でこのCMがにわかに話題となる

ネット黎明期、某掲示板にて〝〔森女〕未出、迷宮入りCM捜索〟というスレッドが立てられAERAのCMを知っている人いませんか?という質問があり、かつて存在した画箱(ガバコ:2002年~2010年3月閉鎖)にそのCM動画を投稿した本人と思しき人物が反応している様子が窺える。その投稿した動画が現在も某動画共有サイトにUPされている。

その質問した人たちも私と同じようにAERAのCMに対して当時、訝しい気持ちになったのだろう。それが忘れられなくて質問に至った心中をお察しする。

途切れているもここで件のCMをご覧頂こう
違和感満載AERAのCM
1988年昭和のクライマックスに創刊された「AERA」のCM☜クリックしてご覧あれ

どうだろう?昼下がりのまどろみの中、ボーっとテレビ画面を眺めている時に唐突にこのようなCMが流れ出したら、「今のは一体なんだったんだっ!?」と首を傾げたくなると思う。

CMに対して一番不穏に感じてしまったのはやはり、女性の似顔絵に対するものが非常に大きいと思う。この年にソウル五輪が開催されるのだが、その前年の昭和62年(1987年)に偽造パスポートを使い日本人の実在する親子に成りすました某地域の工作員男女2名による大韓航空機爆破事件が発生、その爆破テロはソウル五輪開催を妨害する為であったことを身柄拘束時、服毒するも一命を取り留めた女性工作員が証言。一方の父親役の男性工作員は即死。

女性工作員は後に、自分を〝日本人化〟させるために教育係になっていたのは、日本で拉致された日本人女性であることを公表。その際似顔絵をメディアに提示した時の似顔絵であった。

日本政府は速やかに人物を特定。行方不明者リストから昭和53年6月に、飲食店店員の女性が2人の幼子をベビーホテルに残したまま消息を絶った当時22歳の女性が該当した。

女性工作員は記者会見ではっきりと「日本で拉致された日本人女性」と証言しているにも関わらず、当時の週刊誌などは〝洗脳され自らの意志で渡った〟〝反日的思想の持ち主では?〟など面白おかしく書きたて、幼子を引き取った実兄(97年に結成された北朝鮮による拉致被害者家族連絡会の現会長の飯塚繁雄氏)宅に殺害予告の電話や手紙など執拗とも言える嫌がらせを受けてしまう事案が発生するに至ってしまった。今も昔もメディアは変わってない。

女性工作員は教育係だった日本人女性は、2人の子どもの事をずっと気にかけていたこと、時折「ドナドナ」を口ずさんでいたことを懐述している。

当時としては日本人拉致というものが事件化どころか、都市伝説的扱いだったため致し方なかったのかもしれないが、このCMでの似顔絵の扱われ方には悪意を感じざるを得ない。

    CMで矢継ぎ早に繰り出されるワードと静止画の意図とは?

    ※ワード(映し出された静止画像)という感じに書き出してみる。

  • タワシ(亀の子タワシ)
    ※風俗の隠語でタワシ洗いというものがあるらしいが(自重😅)・・・下衆の勘繰りにて御免。それともこれからの日本をタワシで磨くようにお掃除してやるよという隠れたメッセージだったのだろうか?
  • 朝日新聞
    ※言わずと知れた大手新聞社
  • 貿易摩擦(転倒しているミニカー) 
    ※日米の貿易摩擦のことを指している
  • 印鑑(富岡という苗字が刻印)
    ※印鑑とその刻印の苗字が富岡・・・富岡製糸工場を指しているのだろうか?製糸工場といえば、原作「女工哀史」映画化した「あゝ野麦峠」を思い起こさせるものがあるが・・・実際のところ富岡製糸工場はかなり女工を大切に扱っていた工場だったらしい。一方映画「あゝ野麦峠」の舞台のモデルとなった長野県の諏訪、岡谷の製糸工場に野麦峠を超え働いていた元工女たちに取材を重ね書き上げた原作「女工哀史」では、工女の賃金にバラつきがあったこと、工女として働きたかったが家が貧しく工女になることを断念した者、さらに実家の農家を手伝っていた時の方がきつかったと証言する元女工もいた。あの映画は、その中でも悲劇に見舞われたいくつかの例だけをデフォルメした映画と現在は見做されている。
  • ソウル(キムチ) 
    ※1988年夏期五輪・パラリンピックの開催国
  • AERA 
    ※創刊されるニュース週刊誌
  • 防衛費(ロボット人形) 
    ※ロボット人形は日本政府がアメリカの操りロボットという皮肉なのか?
    現在はアメリカという国家ではなくディープステート(その裏に暗躍する軍産複合体や金の亡者たち<一部の米国民主党及び一蓮托生のショービジネス界関係者たち>)といった方が正しい
  • 猛犬注意 
    ※昭和62年(1987年)1月~昭和63年(1988年)にかけて朝日新聞社関連機関の襲撃が相次ぎ大阪支局では死傷者(死亡者1名<享年29歳>重傷者1名<当時43歳>)を出した赤報隊事件の実行犯を指しているのだろう。赤報隊と名乗る人物(組織)が起こした襲撃事件は平成2年(1990年)まで続いた。襲撃対象となったのは中曾根・竹下両元首相に対する脅迫事件、リクルート事件で世間を騒がせていたリクルート元会長宅襲撃事件、愛知県の韓国人会館放火事件。それ以降、犯行はパタリと止んだ。今尚未解決事件であり警察庁広域重要指定番号から、「広域重要指定116号事件」と呼ばれていた国内に於ける連続テロ事件ともいえる

  • AERA
    ※創刊されるニュース週刊誌 
  • 実弾(札束が入ったジュラルミンケース) 
    ※軍需拡大・防衛費にお金使いすぎという皮肉か?
  • おミカン(皮を剥かれた蜜柑) 
    ※家庭円満という意味がある一方、蜜柑の蜜は甘いという意味で親密、只ならぬ仲という隠れた意味もあるらしい
  • 恩恵・ウネ(似顔絵)
    ※工作員の日本人化教育の為、拉致された日本人女性(当時22歳)李恩恵と称される女性の似顔絵
  • ウメ(お婆さんの顔)
    ※初老のご婦人を指す梅干しからくるのか?奇しくも翌年平成元年(1989年)6月に杉並の資産家老女殺人事件発生。被害者の名前がウメさんという82歳の女性だった。主犯の男は死刑確定。2008年に死刑執行。単なる偶然である。
  • 5月創刊(AERAのロゴ) 
    ※ニュース週刊誌の広告なので何度も挿し込まれる
  • 一茂(数字の3) 
    ※昭和62年(1987年)にドラフト会議によりヤクルトスワローズに入団した長嶋一茂選手を指している背番号3
  • 脳死(心電図の波形) 
    ※80年代に入り脳死と臓器移植問題についての議論が激化。昭和63年(1988年)1月、日本医師会生命倫理懇談会にて「脳死および臓器移植についての最終報告」を発表
  • 朝日新聞 
    ※創刊されるAERAと関係があるため2度目の挿し込み
  • I・N・F(I・N・Fの文字入り/キャンドルをミサイルに見立てたデコレーションケーキ)
    ※INF=アイエヌエフ inf=インフ中距離核戦力(Intermediate-range Nuclear Forces)の略。昭和62年(1987年)米国大統領・レーガン大統領とソ連のゴルバチョフ書記長との間で調印された中距離核戦力全廃条約。2019年8月に失効となっている
  • ニュース週刊誌(AERAのロゴ)
    ※創刊号のCMなので幾度も挿し込まれても仕方がない
  • 財テク(高価なアクセサリー)
    ※時はバブル。巷で財テクという言葉が持て囃された現在ほぼ死語
  • 玄関(インターホン<ドアホン>) 
    ※意味不明
  • AERA 
    ※5回目の創刊雑誌のロゴ挿し込みお疲れ様です
  • 円(1円硬貨)
    ※日本の通貨単位・平成元年1989年4月1日施行となる消費税3%に対する皮肉だろうと考える
  • 人材バンク(金庫からマネキンの手) 
    ※職業紹介事業のこと
  • ここまでで動画が途切れている。 

意味不明なワードと静止画についていくつかは当時、話題になった人物、事象を指しているのでしょうが、その他は何を意味しているのかイカレポンチの私には皆目見当がつかない。

ただ単純にそれらしさを匂わせる為、インパクト勝負で制作されたCMなのだろう。しかしあまりいい気分がしない不穏さが拭いきれないCMだ。

だから尚更、拉致された女性の似顔絵をあのような形で使用したことに今更ながら腹が立つ。なので今まで一度もこの週刊誌を購入したことはない。(断言)

それとも、これから我々がタワシのように日本を磨いてお掃除するよ(混沌に変えていくよ)という狼煙だったのだろうか・・・いやいやそれは私の考え過ぎなのかもしれない。

この記事を記す際、参考にさせて頂いたサイト

脳死という死の基準と日本の生命倫理 田中丹史氏

「あゝ野麦峠」 - Wikipedia

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