80年代少女の心を静かに掴んだファンシー文具・PASTEL LIGHT

80年代初頭から中半にかけ(昭和55年~昭和60年頃)ユーカリ社製(20年前ぐらいに倒産)のファンシー文具にPASTEL LIGHTというグッズの存在があった。
そのシリーズは一部の乙女たちの心を静かに掴んだ。
(画像:PixabayよりPASTEL LIGHTをイメージして画像合成・加工したものです。程遠くて御免!そしてK.KUROI氏誠に申し訳ありません!!)

淡い闇夜を思わせる風景画の文具・PASTEL LIGHT

中学2年生のまだまだ寒さ残る3学期、文房具を買いに街に繰り出し数件の雑貨屋を巡っていたら、一つの下敷きに釘付けとなり即購入。その下敷きは淡い闇夜に浮かぶ星々をバックに一軒の家が描かれた素敵なイラストだった。下敷きには〝PASTEL LIGHT〟のロゴが記されていた。

当時、文房具のデザインといえば、ディ〇ニー社のネズミ様もしくはサ〇〇オキャラクターが主流、正直、私の柄ではないと決め込み、いま一つ気に入る文具とのめぐり逢いを果たせずにいたところに、やっと出逢えたファンシー文具であった。
(※小学5年生から6年生にかけて〝DON&NOO〟シリーズを愛用していた時期もあったが、私の住んでいた田舎でそのキャラクターの文具を目にしなくなり意気消沈。それからしばらくしての〝PASTEL LIGHT〟だったのである。
〝DON&NOO〟のキャラクターデザインはギンビス【たべっ子どうぶつ】のパッケージデザインを手掛けたはらJIN氏であったことは数年前に知った。)

その下敷きと出逢ってからは、とにかく〝PASTEL LIGHT〟関連の文具を探し求めつづけたものだ。

PASTEL LIGHTのロゴとともに記された©K.KUROIとはいったい誰?

〝PASTEL LIGHT〟関連グッズを下敷きから始まり、ノート数冊、カンペンケース、そして時代はカセットテープ全盛期だったこともありカセットインデックス、トレーなど、気付くと私の周囲は〝PASTEL LIGHT〟だらけになっていた。グッズにはかならず〝PASTEL LIGHT〟とともに発売元のローマ字表記のユーカリ(社名)そして©K.KUROIと併記されていた。

©K.KUROIとはイラストレーターの名前と思われ、青を基調とした淡い風景画を描くイラストレーターは一体誰だろうと気になっていたが、知る術もなく時間が流れ〝PASTEL LIGHT〟グッズもまた、高校3年頃になると目にしなくなった。しかし数年後、ひょんなことで知ることになる

高校卒業後、専門学校に通いながらの勤労学生時代、文芸誌「詩とメルヘン(編集長:やなせたかし/発売元:サンリオ 1973年創刊~2003年休刊)」を懐かしさ半分に購入するようになり、その中に〝PASTEL LIGHT〟とタッチの似たイラストを発見!!そこには黒井健という名前が記されそこで私の中で何かが繋がった。「詩とメルヘン」は私の母(物故者)の愛読本でもあった。

©K.KUROI=黒井健氏

〝PASTEL LIGHT〟を描いていた人物の正体はイラストレーター・黒井健氏だったことを知り、彼が挿絵を手掛けた、新美南吉著の絵本「ごんぎつね」「てぶくろを買いに」を購入。しかし生まれ育った九州某県から隣県へ越す時に所持していた本を古本屋に売ってしまったその中に2冊も含まれていた。その後、ずっと後悔の念が付き纏ったものだが、再購入を検討している今日この頃である。

ただし「ごんぎつね」だけは読めない。当時、黒井健氏のイラストに惹かれ購入した際も「ごんぎつね」だけは読めないまま手放してしまった。

2つ上の姉の国語の教科書に載っていた「ごんぎつね」を読んでしまい、号泣ししばらくの間、記憶から「ごんぎつね」が消えず、半ばトラウマになってしまい自分が小学4年生を迎えたら「ごんぎつね」を授業で受けなくてはならないのだなと腹を括ることもできないまま2年の歳月が流れ4年生になってしまった。国語の授業が「ごんぎつね」の期間は、母に黙って学校に行く振りをし近くの公園で時間を潰したり、国語の授業の前に学校を抜けだしたり(現在だと学校からすぐ親の携帯に連絡がいく案件)、保健室に逃げ込んだりしたものだ・・・。

黒井健氏は新潟県出身で現在は神奈川県に在住している傍ら、2010年に新潟市立中央図書館こどもとしょかん名誉館長に就任。
山梨県北杜市に黒井健氏の私設ギャラリー「黒井健絵本ハウス」を展開している

黒井健氏が描いた〝PASTEL LIGHT〟シリーズは時折、ネットオークションなどに出品されているので、興味のある方は 【ファンシー文具  PASTEL LIGHT】で検索してご覧あれ

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