柔軟剤の黒船・日本リーバのファーファ

ファーファの愛らしさに目を奪われた私は当時中学生。自分で洗濯していた身の上だった為、
しばらく市場から遠ざかる2000年代初めぐらいまでファーファを好んで使っていたものだ
(画像:写真AC/発売当時のボトルを加工により再現したものです。)

柔軟剤の黒船はとても愛らしいくまちゃんだった

とにかくクリーム色のくまちゃんが可愛くて仕方がないのである。風合いもふんわり香りも柔らかい柔軟剤だった。
くまちゃんがパッケージされた柔軟剤・ファーファが日本で発売されたのは昭和58年(1983年)。ファーファはくまちゃんの名前でもあった。
当時、新たな柔軟剤が日本上陸的な雰囲気のCMが流れ、パッケージのくまちゃんに目を奪われ近隣のスーパーを自転車ではしごし発見して購入したものだ
Youtubeに投稿されているいくつかのCMは発売されて数年たったものと思われ、なんとくまちゃんが愛らしい声でしゃべりだしたからびっくらこいた
声の主は青二プロダクションに所属していた鈴木富子さん(1956年~2003年)だった。
鈴木さんはアニメ「北斗の拳」のリン。「ドラゴンボール」のデンデの声を担当していた子どもや少女役を得意とする声優でもあった。

鈴木さんの愛らしいヴォイスがより一層ファーファの可愛らしさを引立て多国籍企業の厳ついイメージが払拭されたことは間違いない。

多国籍(グローバル)企業の日本リーバは現在、ユニリーバ・ジャパンという社名となり今も尚、リプトン紅茶、ビューティーケアのLUX、洗顔フォームのDoveなど
数多の製品を取り扱う巨大企業であり、現在、J-オイルミルズから販売されているマーガリンブランド「ラーマ」もかつては日本リーバが販売権を有し街やイベント会場などで集っている奥様方にマイクを突き付けマーガリン「ラーマ」を塗ったパンを食べさせ感想を引き出すというまさにジャイアニズム溢れるラーマ奥様インタビューは、日本のCM界に一石を投じた伝説のCMでもある。日本の風土には余り馴染まないような強引ジャイアンっぽいイメージを勝手に抱いている私にとって、ファーファのCMの印象は正直、拍子抜けするものであり今考えてみると柔軟剤だけあってキュートなソフト路線(今で言ったら〝萌え〟という奴ですかね)で勝負を仕掛けたのではないだろうか?

日本リーバ時代のファーファCM
ファーファの愛らしい姿に悶絶CM(昭和61,63年=1986,88年頃)☜クリックしてご覧あれ
貴重なCM映像をUpされた投稿者に感謝!!

ファーファ出現前の日本に於ける柔軟剤事情

国内初の柔軟剤の誕生は、昭和37年(1962年)花王の「花王ソフター」が第一号とされている。当時、シャンプーの後にリンスをするのと同じという理由で商品開発に至り、一般家庭の洗濯事情に潤いを与えた。
そして遅れること4年後の昭和41年(1966年)にライオンの「ライオンソフター」が発売されるとともに、花王はソフターからハミングへと商品名を変更。
しかし柔軟剤商戦はハミングに軍配があがり、ライオンは昭和51年(1976年)に〝ソフランs〟を発売開始。その後柔軟剤商戦でライオンのソフランsはハミングを凌駕する勢いで消費者の支持を得る。
さらに昭和57年(1982年)にライオンはお洒落な透明ボトルの〝レディーナ〟を発売し、花王も負けじと〝フロリア〟を発売するも濃縮タイプが主流になるとともに2つとも生産終了し廃盤となった。
ライオンは〝レディーナ〟発売と同時期に〝ソフト&ドライ〟という柔軟剤も一般用に発売していた。80年代初め研ナオコさんが出演していたCMを観ていた記憶がある。そんな〝ソフト&ドライ〟は現在も、業務用としてしっかりと発売されており、「ソフト&ドライでないとダメ」という消費者の支持が濃い柔軟剤である。国内初の柔軟剤の〝花王ソフター(現・Kaoソフター)〟と〝ライオンソフター〟も業務用として発売されており、3商品はネットショップや取り扱っているホームセンターなどでも購入できる。

【ソフター】という商品名は他社でも扱っていた例もあり、現在、ファーファの販売権を移譲されたニッサン石鹸(現:NSファーファ・ジャパン)株式会社も一時期、【香りひらがるソフター/UVソフター】という商品名の柔軟剤を発売していた。日本に於ける柔軟剤事情は花王とライオンの2大巨頭の独壇場がしばらく続いていたところに、切り込んできたのが黒船とも言える日本リーバ(ユニリーバ・ジャパン)が放った柔軟剤・ファーファだったのである。

    ※NSファーファ・ジャパン(旧ニッサン石鹸)は日産コンツェルン(日産自動車)の流れを汲む日油株式会社(旧日本油脂株式会社)の一部門企業とのこと、「やっちゃえ日産」と繋がりがあったとは驚きだ。
    ファーファの販売権移譲前のニッサン石鹸時代は、油やサビ汚れ、作業服などの洗浄剤などに特化した〝漢な衛生用品会社〟であったが、移譲後は真逆の企業イメージとなり、女性社員が一気に増加したという事実がある。一つのキャラクターが企業イメージを激変させてしまうとは恐るべしファーファ。

会社が変わっても♬昔の名前で出ています♬

ファーファの由来はふわふわな~やわらかな~というイメージからくるもので、くまちゃんも己のモフっぷりをテレビCMを通して惜しげもなく魅せつけていたが海外の名称もふわふわ・やわらかいという意味の呼称が商品名となっている。

平成18年(2006年)12月、ユニリーバ・ジャパン(旧・日本リーバ)がファーファブランドから撤退時に販売権を当時のニッサン石鹸株式会社が譲受してくれたおかげで、ファーファが近隣の店舗に鎮座していることは誠に嬉しい限りである。このことがきっかけでニッサン石鹸からNSファーファ・ジャパン株式会社と社名も変更させてしまうほどのパワーを持つファーファに🥂。

日本に限った話ではなく米国でも別企業(譲受したSun Products CorporationがHenkel North American Consumer Goodsに買収。現在はヘンケル製品。)でSnuggle(スナグル/米国の商品名)ブランドは展開ししている。

私事で恐縮ながら・・・放つ香りもやさしく柔らかい乙女心をくすぐるもので、かつて乙女だった私はファーファ仕立ての制服を身につけたものである。

    ※ファーファ出現以前は、しっかり香りがほのかに残る花王メリットのリンスをお湯で薄め夏服の上着やスカート、体操服を漬け込んだものだ(これは内緒だぞ😅)

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