愛に背を向けた女が本当の愛を知る・・ドラマ「雨あがりの女」

※今回はイメージ映像です。画像はPixabayより。
ドラマ「雨あがりの女(全8話)」は昭和57年(1982年)2月22日から4月19日まで
テレビ朝日系列の「月曜劇場」枠で放映された

青年の前に何の前触れもなくそれは現れた

脚本家としてようやく一人前になり始めた小説家志望の青年・小谷京平(国広富之さん)。依頼された原稿のチェックをして貰う為に電車に乗り込むが・・・財布を無くしてしまった。どうもスリの被害に遭ってしまったようだ。

財布がなくなり困ってはいたものの、どしゃ降りの中ようやく自宅のアパートに帰りつきしばらくすると、玄関のドアからノック音が・・ドアを開けるとずぶ濡れの美しい女が立っていた。

誰かに追われているようだった。強張った表情の女。京平は咄嗟に理由も聞かず女を部屋に招き入れ匿うのであった。

匿われ何かと親切で優しい京平が、偶然にも自分がスッた財布の持ち主だということに気付き、京平が居眠りした隙に妹の手紙が折り畳まれ入っていた財布をそっと返し、女は静かに部屋から出ていくのであった。

女の名前は工藤愛子(多岐川裕美さん)。幼少期、実母と実母の愛人により川に突き落とされ殺害されかかった壮絶な過去を持つ女だった。その時一命をとりとめその後は施設で過ごし、15歳の時にスリ集団の一味に加わり凌いでいた。

京平はそのずぶ濡れの女が忘れられずにいた・・運命の糸に手繰り寄せられるように京平とずぶ濡れの女・愛子は再会するのであった・・・

極度の人間不信に陥っている愛子は、なぜか京平と奇妙な同居生活を開始。京平は何か思い立ったかのようにペンを走らせるようになった。

二人に忍び寄る不穏な影

京平のアパートでひっそりとしていながらも、心の平穏を味わうように過ごしていた愛子だったが、その日常を壊すように一人の男が愛子に以前から付き纏っていた「実母が君に会いたがっている。今度こそ君の力になりたい」と・・・その男はかつて愛子を逮捕したスリ担当の刑事(児玉清さん)。そして愛子はその刑事を愛しその感情を利用されスリ仲間を売り渡してしまった過去があった。

さらに追い打ちをかけるように、京平に好意を寄せている坂崎翠(水沢アキさん)が愛子の存在を知り、アパートから出ていくように追い立てるようになる・・・

リメイクして欲しいドラマ・・・コンプラに問題ありそうだな

当時、ドラマを観ていた記憶と最近書き上げられたWikipediaを参考にあらすじの触りだけ書いてみましたが・・あまり覚えていないことが判明。

最終的には京平の将来を案じ、思いを断ち切って今迄の罪を清算するかのようにワザと現行犯で逮捕されるようにスリを働き、刑事の元へ身柄を確保されるような結末だった記憶がある。その時、刑事役の児玉清さんの演技が忘れられないやっと自分の元に戻ってきた、俺を選んだという勝ち誇ったような表情が・・・一生離さないみたいなこと言ってたような愛子が不憫でならなかった・・・

京平も愛子とのぎこちない奇妙な同居生活の中、ペンを走らせていた作品は「雨あがりの女」というタイトルの小説だった。しかしその原稿は何者かに盗まれ、さらに盗作された形で世に放たれていたという何とも胸糞展開なドラマだったなぁ

ドラマのOPがこれまた切ない

ドラマのOP映像が枯れ葉舞う中、愛子(多岐川裕美さん)が黒ずくめの服を着て、佇んでいるそれはそれは美しくも切ない映像

そこで流れてきたのがこのクラシック曲だった。(ドラマOPは羽田健太郎氏が編曲したVerが使用されていた。)
ブラームス交響曲第3番第3楽章

京平にとって雨あがりの女・愛子はミューズだったということだけは記しておきたい(涙)

脚本は黒土三男氏・・といえば

現在は絶縁関係になってしまっている長渕剛さんの曲に登場する「浦安の黒ちゃん」だった

黒土三男氏は、木下惠介氏に師事し長きに渡り助監督を務めていた人物。熊本出身で同じ九州・鹿児島出身の長渕剛さんとは公私ともに交流があったが、映画「英二」の演出を巡り対立し絶縁状態になってしまった。監督デビュー作が長渕剛さん主演の「オルゴール(1989年)」その時、映画冒頭で覚せい剤中毒の男(中村ゆうじさん)が長渕さん扮する主人公に襲い掛かろうと街角で暴れ始め刃物を振り回し、そこに遭遇し巻き込まれた子どもを庇うためにメッタ刺しにされる母親役を多岐川裕美さんが演じていた。テロップには友情出演とあったので黒土氏の初監督作ということでその役を引受けたと思われる。

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事