昭和の郷愁誘う三角パック牛乳

※昭和を彩った三角牛乳(テトラクラッシック)を模った封筒でありまする(自前撮影/背景:Pixsabay)

昭和の牛乳パックは三角だった。

昭和27年(1952年)にスウェーデンのテトラパック社が四面体の牛乳容器(三角パック)を開発して以来、牛乳などの飲み物のパッケージは瓶か三角パックが主流だった。それが当たり前と思っていたところ、次第に、保存や商品を陳列しやすいゲーブルパック、ブリックパックが主流となっていき三角パックは2004年に我々の前から姿を消してしまった。

牛乳パックとボトル
※保存時や店頭に陳列しやすいゲーブルトップ型パックとプラスチックボトル(写真素材:AC)

10年の沈黙を破り三角パック復活

2004年に消滅していたはずの三角パック(テトラクラシック)が2014年に突然復活した。

日本テトラパック(東京都・千代田区)が三角パックを復活させ、日本酪農協同(大阪府)が果汁飲料の容器に採用。さらに2015年にローソンが40周年を記念して「毎日牛乳(日本酪農協同)」のコーヒー牛乳が販売された。

三角パックコーヒー
※2015年ローソン40周年記念に販売された三角パック(テトラクラシック)のコーヒー飲料

復活から現在にかけてアセプティック(無菌充填)技術を導入したことにより取り扱う内容や企業にもよるも、常温で最大12か月の保存が可能となった三角パックとなっている。

紙パックには3つの種類がある

    牛乳などが入る紙パックのことをミルクカートンと呼ばれ、種類は以下の通りとなる

  • ゲーブルトップ
    ゲーブルトップ
    大正4年(1915年)に米国のジョン・ヴァン・ウォーマーによって考案された切妻屋根型に加工された箱型紙容器。今日の紙パックの王道中の王道がこれです。
  • テトラ・クラシック(三角パック)
    テトラ・クラシック
    今回のテーマとなったスウェーデンの食品用紙容器の開発・製造をしている国際企業の〝Tetra Pak〟が昭和27年(1952年)に考案し世界的に拡大した正四面体型紙容器。昭和の頃の牛乳パックと言えばこれである。
  • ブリック(レンガ型)タイプ
    ブリックパック
    物流にもってこいのブリックパックは(昭和37年)1962年 にドイツのPLK 社が blocpak 包装システムを考案し実用化させた耐水性箱型紙容器。用途は牛乳や飲料水に留まらず、酒、ワイン、食用油、羊羹や豆腐などの柔らかい食材の梱包などにも使用されている。さらに米国では22口径の小型拳銃弾がブリックパック方式の包装容器の中に詰められ販売されているほどである。(怖い)
    物流に革命を起こすほどの耐水性箱型容器を生み出したPLK社は残念ながら平成元年(1989年)にスイスのSchweizerische Industrie Gesellschaft社 (SIG) によって買収され現存していない。

画像:いらすとや/背景:Pixabay

三角パックが復活と言えどもなかなか目にすることがない

地域差があるのかわからないが、私の住んでいる周辺のコンビニ、スーパーなどでは三角パックの飲物を目にすることは難しい。2年ほど前スーパーで三角パックのコーヒー牛乳を発見した時は胸が高鳴ったものだ。思わず購入してみると紙パックではなく軽量かつ柔らかでありながらも丈夫なスケルトンだった。プラスティック素材っぽい雰囲気だった。

スケルトン仕様の三角パックは現在、国内では北海道酪農公社と株式会社べつかい乳業公社の2社しか扱われていない模様。

10年ぶりの復活時に販売していた日本酪農協同の毎日牛乳は現在取り扱っていないようだ。三角パック梱包可能な工場が2か所しかないということもあるが、やはり、ゲーブルトップとブリックタイプの方が物流コストも抑えられ、店舗にも陳列しやすいという強みがある分致し方ないのかもしれない。

この記事を記す際、参考にさせて頂いたサイト

常温可能な三角パック

ミルクカートン Wikipedia

ヒトメボ~三角パックの牛乳が消えたのはなぜ?~

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